後遺障害は誰が決めるのか(等級認定の流れ)


後遺障害の等級はいったい誰が決めているのでしょうか。
お医者さんでしょうか?
お医者さんといっても、主治医でしょうか?
それとも保険会社お抱えのお医者さんでしょうか?
あるいは保険会社や共済会社が決めているのでしょうか?

まず、自分のケガのことを一番分かってくれているはずの主治医。
そのように思っていた方も結構いらっしゃいましたが、これは完全に間違いです。
主治医は後遺障害診断書等の証明書類を書くにすぎません。
もちろんこの後遺障害診断書は非常に重要なものですが、例えば、ここに「後遺障害等級は○級である。」と書いて貰っても特に意味はありません。

次に、各保険会社お抱えのお医者さん。
つまり顧問医という方が存在しますが、やはり関係ありません。
それでは、やっぱり保険会社が決めているのかというと、これもちょっと違いますので、後遺障害等級の認定の流れと交えて説明することにします。


後遺障害等級認定の流れ


1.症状固定となり、必要な検査を実施した上で、主治医に後遺障害診断書を作成して貰う。

  

2.請求者が損害保険会社等へ自賠責保険(共済)の請求書類を提出。
※損害保険会社等とは、加害者の自賠責保険(共済)、加害者の任意保険(共済)、被害者自身の任意保険(共済)と、数通りのパターンがあります。

  

3.損保会社は、請求書類に不備がないかチェックし、損害保険料率算出機構という組織の自賠責損害調査事務所というところに請求書類を送付。
※損害保険料率算出機構とは、東京に本部を置き、 全国に 7つの地区本部と56の自賠責損害調査事務所(平成27年9月現在) を置いています。調査事務所は各都道府県に必ず1つはあります。

  

4.自賠責損害調査事務所では、請求書類に基づいて、その交通事故について初めての請求であれば、 まず事故発生の状況や自賠責保険の支払対象となる事故かどうか判断し、その上でどのような後遺障害が残っているか、 また、残っている障害と事故との因果関係があるかどうかなどを調査。
※各地区の調査事務所で認定しきれなかった事案は、地区本部にまわされ、 更に東京本部にまわって審査が行われます。このようにして、審査期間は長くなっていきます。

  

5.自賠責損害調査事務所は、調査結果を損害保険会社等に報告。
※調査結果といっても、後遺障害であれば「何級に認定します。」といった決定内容です。

  

6.損害保険会等が、支払額を決定し請求者に支払います。
※損害保険会社等は、自賠責損害調査事務所からの調査結果に基づいて支払額を決定するということですが、実際には損害保険料率算出機構で認定された内容に従って、そのまま支払基準にのっとって支払うだけのことです。

注)JA共済(全国共済農業共同組合連合会)は例外で、損害保険料率算出機構の損害調査を利用することなく、独自に損害調査を行っています。

上記の1~6を読んでいただいて、お分かり頂けたと思います。
後遺障害の等級認定は、損害保険料率算出機構が行っています。
この機構の大部分の運用資金は損害保険協会から受けており、職員には損保会社を退職した者も大勢います。
そして、機構内でも事案によって審査先は異なってきます。
各調査事務所にも地区本部にも東京本部にもやはり顧問医のような医者が存在し、東京本部で行われる審査会では、日本弁護士連合会が推薦する弁護士、専門医、交通法学者、学識経験者等、外部の専門家が審議に参加しており、後遺障害ではやはり専門医の意見は重要なポイントになっていると考えられます。

従って、後遺障害等級を決定するのは、保険会社や保険会社お抱えの顧問医というのは、違ってはいますが全く的外れというわけではありません。
しかし、多くの方が勘違いしている、一番ケガのことを良く分かっているはずの「主治医」が決めるというのは、完全な間違いということです。

Sponsored Link
Sponsored Link
Back to Top ↑