後部座席安全は間違いなのか数値で考える|シートベルト義務化へ


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一般的に比較的安全と思われがちな自動車の後部座席が、実は安全ではなく交通事故での座席別の致死率がトップであるとのニュースが先日(H29.3/29)ありました。

その内容と、果たして本当にそうなのかといったことを見ていきたいと思います。

〝後部座席は安全〟が間違いであるというニュース

まずはニュースの内容をご覧下さい。

昨年、全国で起きた交通事故の座席別の致死率は、後部座席が最も高かったことが警察庁の調査でわかった。
同庁は、後部座席のシートベルト着用率が低いことが原因と分析している。後部座席のベルト着用は2008年に義務化されたが、一般道では反則金などの行政処分がないことに加え、「後部座席は安全」という誤った認識が広まっていることが背景にある。
警察庁によると、昨年の全国の交通事故死者3904人のうち、1338人が自動車乗車中。座席別では、運転席で1004人、後部座席で158人、助手席では155 人が死亡した。
座席別の致死率でみると、後部座席が0.36%で、運転席は0.32%、助手席は0.27%。運転席と助手席は、05年以降、ほぼ全ての新車にエアバッグが搭載されたことなどから、致死率が低下。09年以降の致死率は、エアバッグが普及していない後部座席が最高になった。
※ 引用Yahooニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170329-00050065-yom-soci

このニュースを読んで、皆さんどのように思われましたか?

ニュースの数値を考えてみる

まず後部座席の致死率が高いという原因はニュースにもあるように、一般道でのシートベルト着用が違反をしても反則金を課されることのない、言わば努力義務であるため着用率の低い事が、その一因となっている事は間違いないでしょう。
そして後部座席のエアバッグ搭載率の低さもやはり一因となっているでしょう。

それではニュースの数値を詳しく見ていきます。

●2016年の交通事故死者 3904人

  • うち自動車搭乗中  1338人
  • うち運転席搭乗中  1004人
  • うち助手席搭乗中   155人
  • うち後部座席搭乗中  158人

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    まずこの数値を見て、交通事故による死者はここ数年でもの凄く減っていることに気付きました。
    おそらく私が交通事故に携わるようになった13年前とくらべると半分くらいでしょう。
    この要因はいろいろありますが、詳しくはまたの機会にしたいと思います。

    また、交通事故による死者は自動車搭乗中でない人の方が多いことが分かります。
    つまり、歩行者であったり、自転車や二輪車に乗っていた人ですが、その大半は歩行者です。

    そして死者数を見ると、助手席と後部座席に座っていた人の数が運転手と比べると極端に少ないことが分かりますが、これは分母の違いによるものです。
    分母の違いは運転席が約31万人を超えているのに対し、助手席や後部座席は5万人前後です。
    車が動いていれば運転手は必ずいますが、助手席や後部座席は誰も乗車していない状況も多いので当然のことです。

    次に座席別の致死率を見るとこうなっています。

    ●2016年交通事故死者 座席別致死率

  • 運転席  0.32%
  • 助手席  0.27%
  • 後部座席 0.36%

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    そしてこの数値を以て「『後部座席は安全』という謝った認識が広まっている」だとか「致死率は後部座席が最高になった」といった内容です。

    しかし、もう一度数値を良くみてみましょう。
    それぞれの座席のパーセンテージはどのような数値なのでしょうか。
    後部座席での致死率を他の座席と比較すると対助手席で約1.3倍、対運転席では約1.1倍とそれほど大きな違いはないと言えます。

    つまり皆がシートベルトをしっかりと装着していれば、この数値は逆転してくるでしょう。
    エアバッグについても同じことです。

    つまりシートベルトの装着率が極端に低く、エアバッグ搭載車もとても少ない後部座席の致死率が他の座席と大差ないということは、 座席位置的な観点から見れば、やはり後部座席は安全 だと言えるのではないでしょうか。

    ただ、自動車の種類によってもそれは変わってくると思います。
    軽自動車の後部座席であったり、3列シートの3列目であったりすれば、後ろから大型の車に高いスピードで追突されれば、やはり死亡する可能性が高まってくるとは思います。

    今までの相談上で感覚的にはこの席が一番危険に感じています

    今まで多くの相談やご依頼を受けてきて、大きなケガを負われている人が多いなと私が感じていた座席位置は助手席でした。
    もちろん分母の違いで運転席の方が一番多いのですが、印象としてはそうなんです。

    全体的な数が4桁に届きませんので、統計の数値の方が正確なのでしょうが、完全に印象としてはそうなんですね。
    例えば、運転席と助手席の2人乗車であれば、ケガがひどいのは助手席の方なんです。
    これは、二輪車の運転者と後部座席の搭乗者で見るとより顕著です。

    持論になりますが、ハンドルを握っている人の方がコンマ数秒ほどであっても、咄嗟の対応が取れているからではないかと思います。
    あとは、運転手が障害物を避けようとするときは、自分が助かる方向にハンドルを切ってしまい、助手席側の人が重傷を負ってしまうパターンも多いようです。
    そういう意味では、後部座席でも運転席側の方が安全ということですね。

    後部座席のシートベルト義務化へ

    運転席と助手席のシートベルト着用率は9割は十分超えているでしょうが、一般道での後部座席のシートベルト装着率は、努力義務はあるものの半分を超えていることはまずないでしょう。

    警察庁の2015年のデータによると、後部座席乗車中に事故死した152人のうちの7割の人シートベルト未着用、後部座席から車外に投げ出されたて死亡した35人のうちの9割がシートベルト未着用だったとのことです。
    ただ、7割の人がシートベルト未着用というのは、全体の後部座席のシートベルト未着用者もそれくらいの割合かと思いますので、特段、ベルトをしていない人の死亡率が高いとも言えないでしょう。
    ただ、強い衝撃で車外に投げ出されてしまう危険性は数字を見ても分かるように、シートベルトをすることで大半が防げることは疑いようがありません。
    これは、助手席にも同じことが言えますね。
    助手席でフロントガラスを突き破る、あるいは突き破らなくても激突して重傷を負ってしまう方は多いのです。
    そして、これは後部座席でも言えることなんですね。

    もう、いっそのこと一般道での後部座席シートベルト未装着にも罰則を設ければ良いのですが、おそらく順序的なものもあるのでしょう。
    その前段階的なのかどうかは分かりませんが国交省が、シートベルトを締めずに車を走らせると点灯する装置「シートベルトリマインダー」を、乗用車の全席を対象に装備するよう義務化することを決めました。
    2020年9月以降の新型車を対象に、道路運送車両法等を今年6月に改正するそうです。

    しかし、この警告等や警告音、結構、簡単にオフにすることが出来てしまうので、これだけで装着率が跳ね上がるとは思えません。

     


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