高次脳機能障害の後遺障害等級|具体的に何級になるのか?

自賠責保険の後遺障害等級は、重たい障害から順に1級から14級まで等級が階級分けされ、137種の後遺障害(実務上は更に多くなります。)が規定されています。

高次脳機能障害による等級もこの中で割り振られるわけですが、具体的に高次脳機能障害は何級何号に該当する可能性があるのか詳しく見てみましょう。

高次脳機能障害の後遺障害等級

高次脳機能障害としての後遺障害等級は以下の等級が考えられます。

等級等級表に記載の後遺障害該当等級の補足的な考え方
 別表第1
1級
1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの身体機能は残存しているが高度の認知症があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
2級
1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声かけや看視を欠かすことができないもの
 別表第2
3級
3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声かけや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
5級
2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
7級
4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級
10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの
12級
13号
局部に頑固な神経症状を残すもの
14級
9号
局部に神経症状を残すもの
非該当

高次脳機能障害が問題となる事案では、上記のように最上級となる別表第1の1級1号から非該当まで9つの段階がありますが、 高次脳機能障害として認定されたのであれば9級以上 となるでしょう。12級以下の場合は、検討はされたものの高次脳機能障害として認められなかったということです。

しかし等級表(自賠法施行令の別表第1と第2)に明記された「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し・・・」や「特に軽易な労務以外の労務に服することが・・・」と言われても非常に分かりにくいです。

しかし、この後遺障害等級が一段階上の認定になるかならないかは自賠責保険金だけの問題ではなく、その後の損害賠償請求において、とても大きな違いが出てきます。

そこで、一応の目安となるのが上記表の一番右の「補足的な考え方」です。

具体的に何級になるのか?

では「具体的に何級に該当するのか?」、あるいは認定を受けるには受けたけれど「果たして適正な認定なのか?」という事は、とても気になるところだと思います。

しかし、しっかり認定等級が区分けされている自賠責保険ですが、認定基準が公開されていませんので、よく分からないブラックボックス的なところがあります。特に高次脳機能障害は分かり難いのです。

では1つ1つ見ていきましょう。

非該当
高次脳機能障害どうこうではなく、全く後遺障害が残っていないと判断されたものです。
重たい後遺障害が残っているにも関わらず非該当との認定は、そもそも交通事故との因果関係が否定されていることが大半です。従って、因果関係を繋げることさえ出来れば、高い等級が認定されるというケースは意外と多くあります。
第14級9号
医学的に証明できる精神神経学的な症状は明らかではないが、高次脳機能障害の症状の訴えが単に誇張ではないと医学的に認められるもの。つまり、医学的に何の証明も出来ないが、訴えはウソではないと推測できるものです。
第12級13号
MRI、CT等により他覚的に証明される軽度の脳挫傷、脳出血等又は脳はの軽度の異常所見が認められるものであって、高次脳機能障害の症状が認められるもの。14級の認定と同じような状況でも、何か他覚的に証明できれば12級の可能性が出てきます。

第9級
9級以上は、高次脳機能障害としての認定をしっかり受けることが出来ている等級です。働くことは出来るが問題解決能力の問題が残り、作業効率や作業の持続力に問題があるものと言われています。
自賠責上の労働能力喪失率は35%ですが、とにかく高次脳機能障害が認められて、その症状が一番軽い場合が9級と思ってください。
9級の認定は7級や5級などに比して非常に多く感じます。高次脳機能障害で9級に認定された方の中には、本来は7級や5級の認定が受けられた方も多いのではないでしょうか。
第7級
一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないものとされています。
自賠責上の労働能力喪失率は56%と半分以上で、今ではそのような職業自体が稀ですが、タバコ屋の店番なら出来る程度と言われていました。
第5級
単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないものと言われています。
自賠責上の労働能力喪失率は79%ですが、7級との違いはとても分かりづらいもので、明確な線引は非常に難しいところです。
第3級
自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声かけや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なものと言われています。
つまり介助なしで自分の身のまわりの事はなんとか行えるが、仕事はほぼ出来ない状態です。

第2級(別表第1)
著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声かけや看視を欠かすことができないものとされています。
もちろん就労は不可能で、自分1人では日常生活を送ることは不可能な状態です。1級との違いは全面的な介護までは必要ではないことです。
第1級(別表第1)
身体機能は残存しているが高度の認知症があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するものとされています。
高次脳機能障害によって全面的に介護が必要な状況であればこの等級です。

以上、おおまかな目安として頂ければと思います。
そして、明かに認定された等級の上記説明と実際が掛け離れていれば、異議申立を検討するべきでしょう。

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