むちうち症の治療方法と治療期間

むちうちで首を痛めた場合、レントゲン撮影をしても何も異常は発見されません。
それはレントゲンは基本、骨折がないなどを確認するために撮るからです。

首を痛めた場合は、正確にはむちうち症ではなくとも〝むちうち〟という言葉を使ったりしますので、ここでは首の軟部組織を痛めた場合全般の意味でむちうちと言います。

むちうち症の定義についてはコチラをご覧ください。
むちうちって何?

むち打ち症の治療方法

むち打ち損傷を被った場合の受傷初期の治療方法、それはとにかく安静第一です。

交通事故で首を痛めた場合に、多くの方の印象にあるのは頚椎カラーではないかと思います。
しかし、最近ではカラーを装着することは余程酷い場合、といいますか余程必要性がある場合に限られているように感じます。

これは、確かに受傷すぐの時は安静にしておく、つまり動かさないようにするべきなのですが、出来るだけ早い段階で動かしていく方が、長期間カラー固定をして動かさないでいるよりも治療成績が良いというのが最近の考えで、私自身もそのように感じています。

例えば頚椎の手術をした場合でも、数週間ベッドで安静にして、その後も3ヶ月ほど頚椎カラー固定をした人よりも、術後数日でベッドから起き、術頚椎カラー固定も行わず歩行するなどしている人の方が術後の経過が良好であったりするようです。

強く希望して頚椎カラーを出してもらったという人がたまにいますが、頚椎カラー固定は余程必要性の無い限り(つまり医師の指示がない限り)する必要はないでしょう。

軽度のむちうち症の場合は、出来るだけ早くに可能な限り首を動かすようにしていく方向です。
病院からの指導に従って、リハビリ運動をしていきましょう。

それでは、具体的なむち打ち症の治療方法にはどんなものがあるのか見ていきましょう。

温熱療法

よくある病院でのむち打ち症の治療方法としては、消炎鎮痛処置というものがありますが、悪く言えば当たり障りのない温熱療法が多いです。

身体を温めたり冷やしたりする温度刺激により、血液循環の改善や疼痛の軽減などを目的に行い、代表的なものに赤外線治療、ホットパック、マイクロ波治療などがあります。
それぞれ具体的には以下のような効果が期待されます。

赤外線

皮膚表面への温熱作用がほとんどで、皮下組織や血管、リンパ管、神経への直接的な効果は余りありません。
ただ、皮膚表面への温熱作用によって血管拡張、新陳代謝の活性化や鎮痛効果が期待されます。
治療時間は10分~20分ほどです。

ホットパック

皮膚、末梢血管、筋組織への温熱作用があり。血管拡張、血行促進による鎮痛効果、筋緊張の軽減などが期待されます。
皮膚温が最高温度に達するには治療開始から10分前後かかり5~10℃上昇しますが、筋組織の場合は1~2cmほどの深さでも最高温度に達するまでに15分以上かかり、それ以上の深さでは温度上昇は僅かになります。
また脂肪が多いと、脂肪に熱が集中し筋組織に熱が伝導しにくくなります。
治療時間は20分ほどです。

マイクロ波

極超短波により生体の深部組織から温めます。
特に水分を多く含む筋膜付近を温める作用がありますが、金属をよく加熱するのでペースメーカーや金属類が体内にある方は使用できません。
治療時間は15~20分ほどです。

牽引療法

頚椎介達牽引という治療法です。

頚椎の他、腰椎介達牽引もあり、脊椎症や椎間板ヘルニアの他、脊椎に起因する症状の軽減を目的に行います。
症状軽減の理屈は、椎間関節の軟部組織を伸ばす、椎間板や椎間関節の変形や位置を矯正する、神経の通り道の椎間孔を広げる、マッサージ的効果などです。

牽引方法には、数時間以上に亘り、小さい力で牽引する持続牽引と秒単位での牽引と休止を交互に行う間けつ牽引がありますが、むちうちなどで通院して行う牽引は間けつ牽引の方です。
治療時間は15分程度です。

ただ注意したいのは、牽引を行うことで症状が悪化する方も相当数いることです。
原因によりそもそも牽引が意味をなさないこともありますし、原理的には牽引が良かったとしても身体に合わない方が場合があります。
もし、牽引を行うことがご自身で余り良くないと感じたら遠慮なく主治医に相談するようにしましょう。

鎮痛剤の服用

ロキソニン、ボルタレン、バファリンなどいろんな痛み止めが存在します。
そして、鎮痛剤には強いものから弱いものまでいろいろですが、やはり薬ですので副作用があるものもあり、薬のせいで体調を悪くしてしまっている人もいます。

ただ、決して薬を飲むのが悪いわけではありません。
正しい使い方をすれば有効なことは多くあります。
しっかり説明を聞いた上で、自分がどのような薬を飲んでいるのかは把握するようにしましょう。

ブロック注射

酷い痛み、なかなか治らない痛みにはブロック注射を行うことも多いです。
ブロック注射といってもいろいろありますので、むち打ち損傷後に行われることの多いブロック注射をご紹介します。

トリガーポイントブロック

筋肉が血行不良を起こしてカチカチに固まってしまい、その上に圧痛点が点在します。
この筋肉の圧痛点をトリガーポイントと呼ぶのですが、このトリガーポイントを狙い打って直接針を刺すことでその部分の血行を改善し、麻酔剤を注入することで痛み物質を洗い流し、痛みがなくなることで交感神経の異常興奮を和らげるなどの効果があります。

注射というと何かと恐い気もしますが、整形外科でも比較的多く用いられる治療法です。

星状神経節ブロック

のど仏の近くに星状の形をした交感神経の塊のような所があります。
これを星状神経節といいます。

この星状神経節を局所麻酔でブロックすることで交感神経の緊張を緩めます。
その結果、血管が拡張し血流が良くなり(特に視床下部)、人間が本来持っている自然治癒力が活性化する事で痛みの改善にも繋がります。
他の神経ブロックと併用される事もあります。

星状神経節ブロック注射は仰向けの姿勢で行います。
15分くらいの休憩を取れば、病院から帰ることが出来ますが、どこの病院でもしてくれるわけではありませんので、通院している病院で出来ない場合は、その病院から紹介して貰いましょう。
多くはペインクリニック(痛みの治療の専門病院)で行ってくれます。
大きな病院でしたら麻酔科、最近だと痛み外来と言ったような診療科が出来ている所もあります。

マッサージ

マッサージをすることの効果としては、血流改善や筋肉ほほぐす事などの他、自律神経のバランス改善なども考えられます。
もちろんむちうち損傷後の症状改善に効果を発揮することも当然ありますが、特に慢性期に行われます。

ただ、状態によっては患部を強くマッサージすることが逆効果になることもありますので、症状が良くならない原因を可能な限り突き止めた上で行うのが良いでしょう。

鍼灸治療

これもなかなか治らないむちうち損傷後の治療として大きな効果を発揮することがあります。

ただ、交通事故の場合は、保険会社は鍼灸治療に対して好意的ではありませんし、病院の主治医も良い顔はしないという側面があります。

ただ、今までなかなか治らなかったのがウソのように良くなる人もいます。
3~4ヶ月しても良くなる徴候が無ければ保険会社担当と相談の上、1~2ヶ月通ってみるのもありだと思います。

ただ、むち打ち症で認定の可能性の比較的高い後遺障害第14級の認定にはマイナスに作用することもしばしばあります。
この事については、また詳しく書いていきたいと思います。

むち打ち症の治療期間

むち打ちの場合、レントゲンを撮っても何も異常所見は出てきません。

そして、保険会社は他覚所見の無いむち打ち症などの場合は「治療は1ヶ月までしか見れません。」、「通常、3ヶ月で治療終了です。」、「6ヶ月以上は前例がありません。」などと言って治療(厳密には治療費の支払い)を打ち切ろうとしてきます。

しかし、むちうちだから何ヶ月などと当然決まっているわけがあません

あくまで、そのような方が多いというだけで、ケガの状態は十人十色です。
仮に全く同じ衝撃を受けたとしても、全く同じケガをして、全く同じ回復過程をたどる事はないのです。

同じ衝撃でも、そのときの姿勢や、衝突する事が分かっていたか不意であったかによって全然違いますし、そもそも元々の首の状態は人によって違い、一般的に年齢が高い方の方が重症化、長期化する傾向があります。

確かに早ければ1~2週間で完治している人もいますが、中には1年通院加療をしても全く良くならない人もいます。

ただ、治らないからといっていつまでも漫然と同じ治療、リハビリをしていても意味のない事もあります。
目安としては、半年よりも早い時期での保険会社の不当な治療打切の話には、とにかく冷静にまだ病院通いが必要である事を説明し、理解を得るよう話をしてみるべきでしょう。

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