頚椎椎間板ヘルニア


交通事故で首を痛め病院に行きムチウチですねなどと言われ、警察提出用の診断書を見ると診断名は「頚椎捻挫」となっており「上記診断にて受傷日より約1週間の加療を要する見込みである。」などと書かれていたけど、1週間どころか2ヶ月経っても3ヶ月経っても一向に良くなる気配が無いという方も多くいます。

その原因はもちろん様々でしょうが、MRIを撮ることで原因が分かることもあります。

1ヶ月経っても良くならなければMRIを撮ってみる

むち打ち症の場合は 1週間ほどは安静が基本 です。
軽いものだとそれだけで治ります。

それで治らなければいろいろなリハビリを始めるわけですが、事故受傷後1ヶ月を過ぎても全く良くなる気配が無ければ、一度MRIを撮影してもらうのが良いでしょう。

主治医の先生から提案してくれれば良いですが、何も言われず漫然とリハビリが続くことが一般的ですので、ここは患者側から頼んでみれば良いのです。
「撮っても一緒」などと言われることも多いですが、そのときは「撮って何もなければいいんです。安心のために撮ってください。」って感じで言えば、断られることはあまりありません。

医師が「撮っても一緒」と言うのは、わざわざMRIを撮ったところで何も外傷性の異常所見が出てこないとを、レントゲン所見や症状の経過等からある推測しているのだと思います。
しかし医師は大抵、交通事故と加齢による変性所見を分けて考えています。

頚椎椎間板ヘルニアとは?

言葉を句切って見ていきましょう。

まずヘルニアです。

ヘルニアはラテン語で脱出を意味します。
つまり、何らかの原因で周囲の組織の圧迫に耐えられなくなった臓器等が、本来あるべき所からはみ出した状態をいいます。
鼠径ヘルニア、臍ヘルニアなど腹部の臓器に多く見られます。

従って「ヘルニア」という言葉は良く耳にすることがあると思いますが、「ヘルニア」だけではいったい何のヘルニアなのか分かりません。

次に椎間板です。

椎間板は椎骨と呼ばれる脊柱を構成している一つ一つの骨の間にある円形の線維軟骨のことで、コラーゲンを含む線維輪と呼ばれるものの中にゼラチン状の髄核というものが入っています。

椎間板の役割は、椎骨にかかる衝撃を吸収し、椎骨の微妙な動きを可能にする軟骨関節を形成し、靱帯とともに脊椎を守っています。

tsuikanban

上の画像の赤で囲ったところが椎骨、その下の紫で囲ったところが椎間板です。

つまり椎骨と椎骨の間(椎間腔)に納まっているはずの椎間板が飛び出し、後方にある神経根や脊髄に当たって有症状化したものが「椎間板ヘルニア」です。

※下のMRI画像は椎間板が脊髄を圧排している状態
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そして椎間板は頚椎の間に6つ、胸椎の間に12、腰椎の間に5つの合計23あり、そのうちの頚椎の椎間板が飛び出していれば「頚椎椎間板ヘルニア」になり、腰なら「腰椎椎間板ヘルニアです。」
もちろん胸椎であれば胸椎椎間板になりますが、構造上あまり起こりません。

交通事故による椎間板ヘルニアと元々あった椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは骨棘形成などと同様、経年性変化(加齢による変性)によって起こり得ます。

人の脊椎は20歳も超えてくれば多かれ少なかれ変性していき、年齢を重ねるほどにそれは進み、画像所見上では40歳も過ぎれば大抵の人に何かしらの異常が見受けられます。

むち打ち症のレントゲン所見でも触れましたが、椎間板ヘルニアもその経年性変化で起こり得る疾患なのです。

しかし、その経年性変化による異常があったとしても、症状が出ている人もいれば特に何の症状も出ていない人もいると思って頂ければ良いでしょう。

だた椎間板ヘルニアは、頻度は少ないですが交通事故等による大きな衝撃を受けることによっても起こり得ます。
そしてこの場合、多椎間に及ぶ事はまずありません。
通常1ヶ所、多くても2ヶ所でしょう。

しかし事故直前に頚椎のMRIを撮っている人はまずいないでしょうから、それが事故によって起こったのかどうかは誰にも証明は出来ません。

ただ、その突出した椎間板や上下の椎間板などの変性状況によって、椎間板が健康な状態であったかどうかはMRIを見れば一目瞭然です。
加齢によって変性した椎間板は、MRIの特にT2*強調像(水分が白っぽく写る撮り方)で黒っぽくなっているのが素人目にも分かります。

つまり椎間板に目立った加齢による変性所見がなく、事故の衝撃が強く、1~2椎間の椎間板ヘルニアであれば、純粋に事故によって発生した可能性がかなり高いと言えるでしょう。

ただ自賠責の調査事務所が行う、その椎間板ヘルニアが事故による外傷性の異常所見かどうかの判断は、また詳しく書きたいと思いますが、 純粋にそれが交通事故によってだけで発生したのかどうかを判断しているのではなさそう です。

 


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