高次脳機能障害とは何か-その定義と低次脳機能障害-


高次脳機能障害とは何か

高次脳機能とは一言で言ってしまえば、人が人らしくあるための脳の機能と言えるかもしれません。

脳には目や耳で感じた光や音を脳に伝え、脳から出た命令に従って手足などを動かす一時的機能と、それによって得た情報をより高度な命令に変換する一時的機能よりも高度な高次脳機能があります。

高次脳機能は、一時的機能によって得た情報を、それまでに経験した知識や記憶や言語等と関連付けて理解し(認知)、新たに記憶し(記憶)、言葉を使って説明し(言語)、目的を持って行動したり(行為・遂行)しています。

つまり、これらの機能が障害されることが高次脳機能障害です。しかし、高次脳機能障害は、医学的に明らかになっていない部分も多く、また学問的にもまだまだ確立されてないのが現状です。

そして高次脳機能障害に関わる人間や場所、それに目的によって、高次脳機能障害の定義自体がバラバラであることが、「高次脳機能障害とは何か」を分かりにくくしている原因の一つでしょう。

各分野における高次脳機能障害の定義

高次脳機能障害とは何なのか・・・、先ほども軽く触れましたが、それは関わる人間や場所、目的によって定義が違ってきます。それは医学、学問、賠償、福祉などです。

医学的・学問的な高次脳機能障害

まず、高次脳機能障害に関わる人間と言えば、医師が頭に浮かびますね。医師の中でも脳外科医、脳神経外科医になるでしょう。脳外科医らの観念である、医学的、そして学問的な高次脳機能障害は、失語・失行・失認などの症状が主になります。
それぞれの簡単な説明をしておきます。

失語

「話す、聞く、読む、書く」などの障害です。
他の人に意思を伝えたり、逆に他の人が伝えてきたことを理解することが難しくなります。認知症に似ていますが、認知症が大脳機能全体の低下であるのに対し、失語症は脳の言語機能に限られた障害です。

失行

手足の麻痺などは無いのに、運動がちゃんと出来なくなります。また、出来る時と出来ないときがあり症状は一定しません。

失認

「今までに知っていたことが理解出来なくなる」障害です。
過去の記憶と照らし合わせて判断することが出来なくなり、例えば、当然に知っているはずの何かを見てもそれが何か分かりません。

自賠責保険や労災保険の高次脳機能障害

国土交通省管轄の自賠責保険と厚生労働省管轄の労災保険、両者の高次脳機能障害の判断基準はイコールではありませんが、定義は同じようなものです。厚生労働省による高次脳機能障害支援モデル事業によって平成18年に診断基準が作られました。

福祉や労災、自賠責などの行政や賠償分野での高次脳機能障害は、失語、失行、失認の他、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害といった認知障害を含んでいます。これらの患者は、日常生活や社会生活への適応が困難なため、この障害者群を 行政的に「高次脳機能障害」と定義 しています。

また、「記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害」等の詳細については、
後日詳しく書いて行きたいと思います。

以上のような「医療の世界と賠償や行政の世界で認識のズレがあること」も、当事者にとっては大きな問題となっています。

高次脳があるなら低次脳機能障害もあるのか

「高次脳機能障害があるなら低次脳機能障害もあるのか」といった素朴な疑問を持たれる方もおられるでしょう。

まず、結論から言いますと 「低次脳機能障害」という言葉は医学的にも行政的にも存在しません 

高次脳機能については、既に簡単ではありますが説明致しまた。対して低次脳機能をしいて言うならば、呼吸や食物の消化といった生き物が生命維持のために使う脳機能、それに運動機能の麻痺や五感の障害といった昔から認知されている本来の脳機能障害のことでしょう。

これら低次脳機能に分類されるであろう障害は生命維持に直結するものや、手足が動かせないなど、その障害がはっきりと分かるものです。対して、高次脳機能障害は一見、その人に障害があるとは分かりにくい障害となります。

分かり難い障害であるけれど、確かにその障害は存在することが明らかになってきました。しかし、分かり難いからこそ、周囲に理解されないことで更なる問題が生じる。そのような理由から、マスコミでも取り沙汰され出し、賠償の分野でも大きな問題となっているのです。
 

 


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