診断名別 後遺障害の認定実績

診断書に書かれる診断名、傷病名(以下、「診断名」に統一します。)を非常に気にされる患者さん、そしてご家族の方がおられます。

例えば、事故でケガをしたのに外傷性と書いてくれない、先生は椎間板ヘルニアと言っていたのに頚椎捻挫としか診断書には書いてくれない、高次脳機能障害の症状が出ているのに記載してくれない等。

しかし、過剰に診断名に囚われる必要はありません。

的確な診断名にこしたことはありませんが、特に意味の無いところに力を注いで、主治医との関係を悪化させてしまう方もいらっしゃいます。
これは、余り得策ではありません。
 

とは言っても、「この診断名で後遺障害は認定されるのか、認定されるとしたら何級くらいになるのか。」ということは、気になるところだと思います。

そこで、当事務所が後遺障害の認定手続をお手伝いさせて頂き、後遺障害等級が認定された方達は、いったいどのような診断名であったのかを、ケガの場所(部位)別にまとめてみましたので、ご参考にして頂ければと思います。

最後にもう一度いいますが、 後遺障害の等級は診断名で決まるものではありません 

同じ診断名でも実態は全くかけ離れていることもあります。
実態をいかに証明することが出来るかで決まりますので、あくまでも参考としてください。
 

※ 診断名としては余り適正でないもの、明らかに間違っているもの、主治医のリップサービス的な診断名と思われる内容が記載された後遺障害診断書もありましたが、後遺障害診断書の傷病名欄に記載されたありのままの診断名で、その診断名のケガにより残った後遺障害が、何級と認定されたのかを基準として記載しています。
※ 依頼時に既に等級が認定されており、異議申立によって等級が変更した場合等は、同じ診断名で、複数の等級に重複して記載しています。
※ 上肢、下肢は基本的には「右・左・両」という言葉が頭につきますが、割愛しています。
※ 同部位で複数の診断名が上がっている場合(例えば「頚椎捻挫 頚椎椎間板ヘルニア」など)、 認定に重要な診断名のみ掲載しているものがあります。

脊柱(脊椎)- 頚部(首)/胸部・背部/腰部

ケガ゙の場所
(部位)
傷病名
認定された等級
頚部(首)
頚椎捻挫14級 12級 9級
頚部捻挫14級 12級 11級
頚椎挫傷14級
外傷性頚部症候群14級
頚部外傷性症候群14級
むち打ち症14級
頚部むちうち損傷14級
外傷性大後頭神経痛14級
頚椎神経根症14級
頚椎性神経根症14級
頚椎椎間板ヘルニア14級 12級 11級
外傷性頚椎椎間板ヘルニア14級 12級
頚椎症14級
外傷性頚椎症14級
頚椎症性脊髄症14級
脊柱管狭窄症12級
後縦靱帯骨化症14級
黄色靱帯骨化症14級
中心性脊髄損傷14級
脊髄空洞症14級
環軸椎不安定症9級
頚椎椎弓骨折14級
胸部・背部
胸椎捻挫14級
胸腰椎捻挫14級
背部挫傷14級
胸背部痛14級
胸椎圧迫骨折8級
腰部
腰椎捻挫14級 12級
腰部捻挫14級 12級 11級
腰部打撲14級
腰部打撲傷14級
腰椎症14級
外傷性腰椎症14級
腰臀部打撲14級
臀部打撲14級
根性坐骨神経痛14級
外傷性根生坐骨神経痛14級
腰椎椎間板ヘルニア14級 12級 11級
外傷性腰椎椎間板ヘルニア14級
外傷性腰椎椎間板症14級
腰椎圧迫骨折11級
腰椎分離症14級
腰椎横突起骨折14級
尾骨骨折14級
交通事故でケガをした人の受傷部位の構成は、ある統計によると頚部(首)が約33%、腰背部で約16%とのことで、実に全体の半数です。そして、その50%のうち上記の診断名でいうと、頚椎捻挫、頚部捻挫、外傷性頚部症候群、腰椎捻挫、腰部捻挫、腰部打撲が殆どを占めるでしょう。当事務所にご依頼頂く方も、追突などのもらい事故で、自分の保険会社が動いてくれないことから相談に来られる方が多いことも理由にあると思いますが、傷病名でいうと頚椎捻挫が圧倒的に多いです。

上記6つは診断名的には、筋肉などの軟部組織の損傷に留まるものであり、後遺症が残るとは考えられにくい診断名ですが、自賠責保険の後遺障害には実際に多くの方が認定されています。

逆に、頚椎椎間板ヘルニアなどの神経や脊髄に関わってくる診断名であっても、実際に神経や脊髄に損傷を受けているかどうかが問題で、これは診断名だけでは分かりません。そして、後遺障害が認定されていない方もいらっしゃいます。

上記の6つの診断名の中に11級や12級があるものと、14級しかないものがあります。これは、11級や12級のある診断名が酷いケガということではありません。厳密には椎間板ヘルニアなどの傷病名が付くべきところであった場合などで、上記では14級しかないものでも、逆に上位等級は有り得ます。たまたま当事務所の経験上そうであったということです。

診断名は頚椎捻挫でも9級が認定されていた方もいます。また、上記に中心性脊髄損傷で14級との認定の例が出ていますが、これは医師がサービス的に診断名を外傷っぽくしていたものでした。しかし、これが原因で後に依頼者、そして依頼された弁護士が、この診断名に振り回され、非該当の認定が連続することになります。いかに診断名はいい加減で、そしてそれほど重要ではないことの現れかと思います。大事なことは、後遺症の実態を把握し、それを証明することです。もちろん適正な診断名にこしたことはありません。



上肢 - 肩/上腕/肘/前腕/手関節(手首)/手指

ケガの場所
(部位)
傷病名
認定された等級
全体
上肢打撲14級
肩打撲傷14級
肩関節挫傷 14級
肩関節外傷後遺症14級
外傷性肩関節拘縮14級
インピンジメント症候群14級
肩関節シートベルト損傷12級
肩峰下滑液包炎14級
肩腱板損傷12級
肩腱板断裂12級
肩関節腱板断裂10級
腕神経叢損傷10級
肩関節脱臼12級
上腕
上腕骨近位端骨折14級
上腕骨嚢腫14級
肘打撲14級
肘挫傷14級
肘滑液包炎14級
肘関節拘縮14級
前腕
前腕打撲傷14級
橈骨骨折12級
橈骨頭骨折14級
尺骨骨折14級
橈骨偽関節12級
橈骨尺骨骨折/尺骨神経障害12級
手関節(手首)
TFCC損傷14級 12級
三角線維軟骨複合体損傷12級
拇指基節骨骨折13級
拇指末節骨開放骨折/拇指IP関節拘縮10級
手指
示指基節骨骨折14級
上肢のケガは、やはり打撲や骨折が多く感じます。 骨折がきっちり元通りに癒合せず痛みや可動域制限があったり、神経を損傷した場合などは12級以上が認定され得ます。 手関節のTFCC損傷と三角線維軟骨複合体損傷は、言い方が違うだけで全く同じ傷病のことです。

下肢 - 股関節/大腿(ふともも)/膝/下腿(すね)/足関節(足首)/足指

ケガ゙の場所
(部位)
傷病名
認定された等級
股関節
股関節捻挫14 級
股関節脱臼14級 12級
股関節脱臼骨折14級 12級 10級
大腿(太もも)
大腿骨骨折14級 13級 12級 11級
大腿骨転子下骨折/大腿骨骨髄炎12級
大腿骨転子下骨折12級
大腿骨大転子骨折12級
大腿骨偽関節12級
大腿骨骨幹部骨折14級
大腿骨骨幹部開放骨折14級
大腿骨開放骨折12級
膝打撲14級
膝擦過創14級
膝部挫傷14級
膝挫傷/内側半月板損傷12級
内側半月板損傷12級
下腿(すね)
脛骨骨挫創14級
脛骨骨折14級 12級
脛腓骨骨折12級
脛骨近位部骨折12級
脛骨高原骨折12級
伏在神経損傷12級
下腿打撲皮下血腫12級
足関節(足首)
下肢末梢神経障害10級
足指
第1趾末節骨骨折14級
第5趾関節脱臼14級
第5趾基節骨骨折14級
下肢のケガの代表としては骨折があります。下肢の骨には、ふとももに大腿骨が1本とすねに脛骨と腓骨が1本ずつで、長管骨と呼ばれる長い骨が合計3本あります。これらが中央部でポッキリ折れた場合は、重傷ですが、元通りに骨がくっつけば後遺症は残りにくく、痛みが残っていても14級の認定が限界です。

しかし、骨折の場所が中央部でなく、関節に近い部位だと、骨折が治ったとしても元通りでなかったり、靱帯を傷めていたり、可動域に制限を受けたりする可能性が高くなります。また、神経を損傷している可能性も高まります。

骨折に伴って痺れなどの症状が少しでもある方は、折れた骨のくっつき具合だけではなく、痺れ等についても、しっかり主治医に話をしておくべきです。

体幹 - 鎖骨/肩甲骨/胸骨/肋骨/骨盤

ケガの場所
(部位)
傷病名
認定された等級
鎖骨
鎖骨骨折14級
鎖骨遠位端骨折14級 12級
肩鎖関節脱臼12級 10級
肩甲骨
肩甲周囲筋攣縮14級
肩甲骨骨折12級
胸骨
胸骨骨折14級 12級
肋骨
肋骨骨折 14級
骨盤
骨盤骨折14級
仙骨骨折14級
仙腸関節脱臼骨折12級 10級
仙腸関節脱臼骨折後骨盤痛10級
坐骨骨折12級
恥骨骨折14級 12級
恥坐骨骨折12級 10級
寛骨臼底骨折10級
体幹骨は骨折による変形障害が後遺障害として認められることがありますが、医師任せの後遺障害診断書を見ると、記載されていないことが非常に多くあります。鎖骨の遠位端骨折では肩関節、骨盤の骨折では股関節の可動域に影響を及ぼすことがあります。体幹骨の骨折の中では、肋骨骨折が一番多いですが、変形障害の認定となると一変して少なくなります。



神経(その他)

ケガの場所
(部位)
傷病名
認定された等級
神経(その他)
外傷性末梢神経障害14級
末梢神経障害14級
上肢末梢神経障害14級
カウザルギー12級
反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)14級
CRPS(複合性局所疼痛症候群)9級
ここでは自賠責保険上で使われているRSDとカウザルギー、そして国際疼痛学会(IASP)の提唱するCRPSという診断名について簡単に説明しておきます。

1994年、国際疼痛学会(IASP)は、RSDを複合性局所疼痛症候群タイプ1(CRPS typeⅠ)としました。typeⅠは神経損傷がないものとし、typeⅡを神経損傷と関連するカウザルギーとしています。しかし、整形外科医の中ではRSDに変えてCRPSとすることには異論が多いようで、整形外科医にはCRPSの診断名は余り浸透しておらずRSD、カウザルギーとすることが多いようです。

自賠責保険上でも労災保険上でもRSD、カウザルギーという言葉が用いられていますが、もちろんCRPSとの診断名でも何ら問題はありません。

CRPS(複合性局所疼痛症候群)typeⅠ ≒ RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)
CRPS(複合性局所疼痛症候群)typeⅡ ≒ カウザルギー

頭部・脳

ケガの場所
(部位)
傷病名
認定された等級
頭部・脳
急性硬膜下血腫/びまん性軸索損傷/高次脳機能障害9級
外傷性くも膜下出血/脳挫傷9級
外傷性くも膜下出血9級 7級
急性硬膜下血腫/脳挫傷/外傷性くも膜下出3級
急性硬膜下血腫/びまん性軸索損傷7級
急性硬膜下血腫/高次脳機能障害5級
頭部打撲/アルツハイマー型認知症2級(別表1) 1級(別表1)
アルツハイマー型認知症7級 5級
外傷性てんかん12級
後頭部打撲(脳震盪)/頭部打撲傷/脳梗塞(ラクナ梗塞)12級
脳脊髄液減少症14級
上記では高次脳機能障害との診断名が入っていない方が多いですが、きっちり立証し、高次脳機能障害としての認定が下りています。診断名に高次脳機能障害と上がっていなくても、外傷性くも膜下出血、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷などといった診断名があるときは、高次脳機能障害としての等級認定も考慮し、主治医任せ、保険会社任せではない、後遺障害の申請の必要性が高まります。

ここで特筆すべきことは、認知症であっても事故受傷やその後の長期入院等をきっかけに発症もしくは悪化したものは後遺障害として認定されているということです(後遺障害確定後の損害賠償の話では素因減額の問題は出てきます)。高次脳機能障害は頭部外傷を原因とするものばかりではありません。脳血管障害やアルツハイマー型認知症、代謝疾患、感染症、腫瘍性疾患による場合もあります。交通事故の場合の問題は、事故との因果関係が認められるかどうかです。例え事故による直接のケガでなかったとしても、因果関係が認められれば、自賠責保険で後遺障害として認定される場合があるということです。

脳脊髄液減少症については、厳密にはここで紹介する診断名では無いかもしれませんが、あえて紹介しておきます。現時点では自賠責保険の認定基準では、脳脊髄液減少症としての後遺障害は認定されることはありません。脳脊髄液減少症を原因とする諸症状については、交通事故によってその症状が出現し、それが将来に亘って残存することが否定し難いとの理由で、第14級9号の認定が精一杯の状況です。自賠責上では、脳脊髄液減少症が確認されたとしても、症状残存を裏付ける所見が医学的に認められているとは取ってくれないのです。

一刻も早い認定基準の改正を望みますが、現状では14級を上回る等級は裁判上でしか実現不可能です。

顔面部 - 顔面/眼/耳/鼻/口

ケガの場所
(部位)
傷病名
認定された等級
裂孔原生網膜剥離13級 12級
視神経萎縮13級
視神経萎縮症13級
眼球打撲/角膜びらん/外傷性散瞳14級
混合性難聴14級
耳鳴14級
耳鳴症14級 12級
耳性めまい12級
鼻骨骨折14級
鼻骨開放骨折12級
嗅覚障害12級
顎関節症14級 12級
下顎骨骨折(咀嚼)12級
歯牙打撲14級
外傷性歯牙打撲14級
歯牙破折14級
外傷性歯牙破折14級
急化Pul14級
その他顔面部
顔面多発骨折12級
顔面骨骨折14級 12級
眼窩骨折14級 12級
眼窩外側壁骨折13級 12級
眼窩内側骨折14級 12級
頬骨骨折12級
頬骨弓骨折14級 12級
顔面挫創12級
顔面外傷後瘢痕14級 7級
眼、耳、鼻、口の後遺障害は、その部分への直接の外傷を原因とするものと、脳や頚部からの神経の損傷によるものとに大きく大別することが出来ます。また、顔面部については骨折後の痛みの他、外貌醜状(顔面の傷痕)による認定があります。

歯の後遺障害は本数次第です。

内臓

 

ケガの場所(部位)
傷病名
認定された等級
腎臓
腎臓損傷11級
小腸
外傷性小腸損傷/術後イレウス11級
胆管
膵胆管合流異常症/総胆管嚢腫13級(胆のう摘出による)
内臓の後遺障害は、呼吸器(肺)・循環器(心臓、心嚢)・腹部臓器(食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓)・泌尿器(腎臓、尿管・膀胱・尿道)・生殖器(睾丸、陰茎、膣口、卵管)等、多数の部位がありますが、交通事故で損傷を受けることは稀で、当事務所でも余り経験がありません。肺については、受傷直後は肺挫傷や気胸、血胸を伴うケガをしていた方には結構出会いましたが、皆、無事に完治しています。
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