高次脳機能障害の原因となる頭部外傷


 

高次脳機能障害は何も交通事故などによる外傷でだけ起こるものではありません。

しかし、ここでは交通事故で頭を強打するなどして脳に異変が起こる場合、つまり高次脳機能障害になる可能性のある頭部外傷について書いていきます。
 

三層構造の脳を覆う膜

最初に頭蓋骨内の構造を大雑把にでも把握しておくと、この後の説明が分かりやすいと思います。
 

頭蓋骨と脳の間には硬膜くも膜軟膜という三層の膜があります。

頭を一番外側の頭皮から脳まで順番にするとこのようになります。

頭皮 ⇒ 筋肉 ⇒ 頭蓋骨 ⇒ 硬膜 ⇒(リンパ液)⇒ くも膜 ⇒(髄液)⇒ 軟膜 ⇒ 脳実質

一番内側の脳実質は軟膜につつまれ、くも膜下腔(くも膜と軟膜の間)は髄液で満たされており、脳はこの髄液に浮かんでいる状態です。
 

人間の最も重要な器官である脳は、頭蓋骨の他、三層の膜と髄液によって守られているのです。

頭蓋骨骨折

頭蓋骨の骨折には線状骨折、陥没骨折、頭蓋底骨折などがありますが80%は線状骨折です。
 

頭蓋骨の線状骨折とは頭の骨に線状のひびが入った状態で、陥没骨折とは頭蓋骨が内側に陥没してしまった骨折です。

いずれも骨折よりも、骨折に伴う頭蓋内の損傷があるかどうかが問題なのですが、硬い頭蓋骨がそうなってしまう程の衝撃が頭部に加わっている結果ですので、硬膜外血腫など頭蓋内に影響が出ている可能性が高くあります。

陥没骨折については5mm以下であれば問題ないと言われています。
 

頭蓋底とは、字の如く頭蓋骨の底の部分で、眼から後頭部にかけてのラインです。

頭蓋骨の中心部で脳を下から支えている部分で、でこぼこして多くの孔(あな)が開いており神経や血管が複雑に行き交っています。

前頭蓋底骨折では眼の周囲にパンダのような皮下出血が生じることがあり、中頭蓋底や乳様突起の骨折では耳の後ろに皮下出血が生じたりします。
 

頭蓋底骨折は脳神経が多く集まっているので、この神経が通っている孔(あな)に骨折がおよぶと脳神経麻痺を起こす危険がありますし、骨折により硬膜内と頭蓋外が繋がってしまう事で髄液漏が起こります。

局在性の脳損傷

「局在」とは「限られた場所」、「局所」のことです。

つまり、局在性脳損傷とは「脳のある限られた範囲(局所)を損傷すること」を言います。
 

局在性脳損傷には以下のようなものがあります。
 

脳挫傷

脳実質の局所的な損傷のことで、くも膜下出血も脳の表面が傷ついている状態です。

脳内に血腫を形成しない点状出血がある場合や非常に浮腫の強い場合もあります。
 

脳内血腫

脳の内部で血管が破れて出血し、血腫が出来る状態です。

血腫とは、体内で出血した血液が滞留している状態を言います。

外傷性の脳内血腫は、強い衝撃により受傷後すぐに血管が破れる場合の他、脳挫傷に伴って挫傷内にある小さな血管が数時間から数日して血腫を作る場合などがあります。
 

硬膜下血腫

硬膜とくも膜の間、つまり硬膜の下に血腫が出来ることによって脳が圧迫され、脳自体の損傷を合併していることも多くあります。

脳の表面で出血することにより起こります。
 

硬膜外血腫

頭蓋骨と硬膜の間、つまり硬膜の外に血腫が出来てることによって脳が圧迫されます。

血腫の増大に伴って神経症状が進行しますが、脳を圧迫していないCTで認められるだけの硬膜外血腫であれば3週間ほどで自然に血は吸収されていきます。

頭蓋骨骨折を合併していることが多くあり、その部位に血腫が出来るのですが、対側損傷といって180°反対側にも血腫が出来る場合があります。

これは頭蓋内で揺れた脳が反対側の頭蓋骨に衝突することによるものです。分かりにくければ、桶などに何か浮かべて叩いてみてください。

硬膜下血腫でも対側損傷は起こります。

びまん性の脳損傷

「びまん」とは「一面に広がり満ちること」といった意味で、病名などによく使われる「びまん性」とは「病変がはっきりと限定できずに、広範囲に広がっている状態」を言います。

限定した場所である「局在性」と反対の意味を持ちます。
 

びまん性脳損傷には以下のようなものがあります。
 

脳震盪(のうしんとう)

多くの人が耳にしたことのある言葉であり、頭を打ったときに起こるものであることも広く知られていますが、具体的に脳震盪とはどのような状態なのでしょうか。
 

脳震盪とは脳に対する加速・減速によって生じる脳の広範囲に生じる損傷です。

つまり、頭部に対する衝撃によって髄液に浮かんでいる状態の脳が揺れることによって起こります。

ボクサーが顎を打たれるなどして脳が揺れ、ふらついたり、一時的に意識が朦朧としたり、ダウンしたまま意識を失っているのは、分かりやすい例でしょう。
 

意識消失の度合いによって重症度が以下のように分類できます。
 

◆ 軽症型

 一時的な神経症状はあるが意識消失なし

◆ 中等症型

 意識消失はあるが、5分以内に完全に回復

◆ 重症型

 5分以上持続する意識消失

 

びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう)

6時間以上昏睡が持続するもので、脳震盪よりもかなり重症です。
 

軸索とは神経細胞の長い突起部分で、電気的信号を伝える働きを持っています。

脳の神経細胞は長い「軸索」と複雑に枝分かれした「樹状突起」によって別の神経細胞と繋がって、複雑な神経回路網、つまりネットワークを形成しているのです。
 

軸索を損傷するということは、その損傷した軸索では信号が遮断されてしまうということになります。
 

つまり、びまん性軸索損傷を分かりやすく言うと「脳の広範囲の限定できないどこかの軸索が損傷し、脳内ネットワークの一部が途絶えてしまった状態」といった感じです。
 

●詳しくはコチラ ⇒ びまん性軸索損傷とは?

 


このサイト内を検索
ご挨拶

事務所代表

●画像タイトル

アチーブ行政書士事務所は平成16年3月、非常に珍しい交通事故専門の事務所としてスタートしました。
続きを読む

 
Back to Top ↑