びまん性軸索損傷とは?

頭部に大きな外傷を負った場合、びまん性軸索損傷(じくさくそんしょう)という傷病名が付けられていることがあります。
一般にはあまり聞き慣れないと思いますが、高次脳機能障害がクローズアップされてきた現在では、その言葉を耳にすることはあるかもしれません。

では、びまん性軸索損傷とはどういった傷病なのかを、言葉をばらして見ていきましょう。

びまん性とは?

びまんとは「広がりはびこること」「まばら」などといった意味です。漢字で書くと「瀰漫」・「弥漫」となります。

びまん性とは、医療用語で「 病変がはっきりと限定できずに、広範囲に広がっている状態 」を指し、何も脳に限定して使われる用語ではありません。

軸索とは?

軸索(じくさく)とは「 神経細胞における長いケーブルのような部分 」です。

樹状突起という神経細胞が、外部からの刺激や他の神経細胞の軸索から送られてきた情報を受け取り、軸索はその受け取った情報を、また別の神経細胞に送り出す働きを持っています。この情報は電気信号として伝達されています。
つまり樹状突起が神経伝達の入力部、軸索が神経伝達の出力部となります。

軸索損傷とは文字通り、この軸索が損傷してしまって電気信号による情報の伝達が途絶えてしまう状態です。身近なことで例えると、お使いのパソコンに接続しているLANケーブルが切れてネットワークが途絶えてしまう感じですね。

つまり「びまん性軸索損傷」とは、「 脳の限定できない広範囲で、情報を伝達する役割の神経細胞の一部である軸索が損傷または切断し、脳内ネットワークの一部が途絶えてしまった状態 」です。

同じような言葉で「びまん性脳損傷」という傷病名がありますが、「びまん性脳損傷」のうちの一つが「びまん性軸索損傷」になります。
びまん性脳損傷については、また詳しく書きたいと思います。

損傷された軸索は再生するのか

結論から言いますと、損傷された軸索の再生は末梢神経では十分あり得るのですが、 脳や脊髄といった中枢神経の場合は一度損傷を受けると難しい とされています。そして軸索を含む神経細胞の数は決まっており有限です。

軸索が再生するプロセスは、切断されたネットワークを修復するというよりは、新たなネットワークを再構築する形です。

ネットワークが切断された軸索は、新たな標的細胞へ向かって伸展し、神経回路を再構築します。ただ中枢神経系では、神経細胞のネットワークの構成が複雑で、再生力も弱いか阻害されており、再生がほとんど起こりにくいようです。
ただ、この再生を可能にする研究は日々行われており、少しずつ仕組みが解明されてきています。

名古屋大学 神経軸索再生因子を受け取るための仕組みを解明

びまん性軸索損傷の重傷度

びまん性軸索損傷は、軽症型から重症型まで三段階に分類することが出来ます。
その分類を以下に記載しておきます。

① 軽傷型
 6時間以上24時間以内の意識消失

② 中等症型
 24時間以上の意識消失
 脳幹症状(-)

③ 重症型
 24時間以上の意識消失
 脳幹症状(+)

脳幹とは、延髄と橋、中脳を合わせた脳の部位です。間脳を含めることもあります。
脳幹は生命維持をする上で非常に重要な役割を持っています。

 

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