社会福祉制度の機能不全

思いもよならい重度の後遺障害を被ってしまったとき、人生のリカバリーの一助となるものに社会福祉制度があります。

しかし日本には多くの社会福祉制度がありながら、その仕組みや関連性は複雑で、その全体像をしっかり把握できる専門家すらいないのが現状です。

それでは、どのような制度があるのかを広く見ていきましょう。

高次脳機能障害者とその家族への社会福祉制度はこんなにある

もちろん障害を負った経緯、おかれる状況等によって利用できる制度は違ってきますが、どのような制度や仕組みがあるのかを簡単にご紹介します。

国民年金・厚生年金

年金には老後に受給される老齢年金の他、病気やケガによって生活や仕事が制限されるようになった場合に受給される障害年金があり、「症状性を含む器質性精神障害」として認定されますが、高次脳機能障害もその中に含まれるという意味合いです。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、病気やケガで初めて診断を受けたときに国民年金加入だったか厚生年金加入だったかで請求出来る年金が違ってきます。また、年金の納付状況などの条件が設けられています。
まだ20歳前で年金に加入していない場合は、障害基礎年金が支給されます。

労災保険

仕事中、もしくは通勤中の事故等により高次脳機能障害が残ってしまったら、障害認定を受けることで、労災保険から年金、もしくは一時金を受け取ることが出来ます。労災は高次脳機能障害としての認定があります。
年金が受給できるのは障害等級7級以上の場合に限ります。
例え勤め先が 労災に未加入であっても、あなたが雇用されていたのであれば労災保険の適用は可能 です。

自賠責保険

交通事故によって高次脳機能障害が残ってしまったら、適切な後遺障害等級の認定を受けることで、自賠責保険から等級に応じた保険金(厳密には賠償金)が支払われます。自賠責保険も高次脳機能障害としての認定があります。
自賠責保険の保険金は相手方からの賠償の一部となるのですが、この等級を基礎として、示談交渉が行われることになります。
従って、 適切な等級の認定を受けることが出来なければ、適切な損害賠償金の支払いは受けることは困難 です。

法律扶助(法テラス)

交通事故など加害者がいる事故等で高次脳機能障害を負った場合、相手方に損賠賠償請求が出来ますが、訴訟にまで発展した場合に、弁護士に依頼せず解決することは困難です。
しかし、弁護士に相談、依頼するには当然ですがそれなりの費用が必要ですので、経済的に困っている状況で弁護士への費用負担が困難な場合でも、相談や依頼ができないということのないように、国が設立した法テラス(日本司法支援センター)にて法律扶助を受けられる事があります。

自動車事故対策機構(NASVA)

交通事故で相当重たい障害を負った場合に介護料の支給、療養センターへの入院、重度後遺障害が残った被害者の子供への育成資金の無利子貸付などを行っています。
あまり活用されていない現状があり、この独立行政法人の存在意義自体がちょっと疑問なところもあるのですが、ご家族は対象となる可能性があるのかどうかは調べておく方が良いでしょう。

介護保険

外傷性脳損傷を原因として高次脳機能障害となれば、65歳以上で支援や介護が必要と認められれば介護保険制度による介護サービスを受けることが出来ます。これが脳血管疾患等の特定疾病によるものであれば年齢は40歳以上が対象となります。
受けられる介護サービスは、ホームヘルプサービスやデイサービスの他、訪問看護、施設入所、住宅改修、福祉用具の貸与などで、利用料は1~2割負担となります。

障害者手帳

障害者手帳は様々なサービスを利用や費用の減免などに使える手帳です。
身体障害者手帳を思い浮かべる人が多いかと思いますが、高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約がある場合は「器質性精神障害」として精神障害者福祉手帳の申請対象となります。診断書の作成は精神科医でなくとも、脳神経外科医やリハビリテーション医でも可能です。
18歳未満で発症した場合は、療育手帳の申請対象です。

生活保護

仕事が出来ず、収入や資産がなく、生活の維持が困難であれば、生活保護の受給も検討しなければなりません。
先ほどの精神障害者福祉手帳の2級以上を所持していれば、障害者加算の対象となります。

障害者総合支援事業

障害者総合支援法によるサービスで、自立支援給付と地域生活支援事業に大きく別れます。自立支援給付には介護給付、訓練等給付などの給付があり、地域生活支援事業は障害者等が自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、住民に最も身近な市町村を中心として実施される事業です。
対象は65歳未満の人で、65歳以上であれば介護保険を利用することになります。

就労支援・職業訓練

高齢・障害・求職者雇用支援機構による障害者の雇用支援などを行っていますが、ここも独立行政法人で、NASVA同様の問題があります。

いったいどの制度をどのように使うことが出来るのか?

上記のように多くの制度があります。

いったいどの制度を使うことが出来るのか。

使えるにしても、どのように利用していけば良いのか。

何を優先的にすれば良いのか。

本当に必要なものなのか。

申請はどのように行うのか。

全体像を掴むことはとても困難で、どう進んでいけば分からないことが通常です。

そんな、重度の後遺障害を負った方に寄り添って、道案内をしてくれる集まりがあります。

ご興味のある方は 神戸リカバリー研究会 のホームページを覗いてみてください。

 

サイト内を検索
 
Back to Top ↑